長い夏休みが終わり、新学期が始まる季節です。
新学期早々、子供が学校に行きたがらないことを不審に思い、聞いてみたところ、いじめが発覚したというケースが多々あります。事実、9月に入り、当サイトにも通常の2倍以上の相談が寄せられています。

一方で、ご相談いただく親御様の中には、こんな不安をお持ちの方もいます。

  • 親は子供のいじめに介入するべきか?
  • 親が干渉しすぎてはいけないのではないか?
  • 親が出しゃばりすぎではないか?

私がいじめられていた中学3年間は、親に介入してほしい(助けてほしい)と考えていました。なんで助けてくれないんだろう…と。
ですが、反対に、介入してほしくない、干渉してほしくないと考える子供もいます。

一体、どちらが正しいのでしょうか?

そこで今回は子供のいじめに親が介入するべきか?、介入する場合どう対応するべきか?、それらは何を基準に判断するべきか?についてお話ししていきたいと思います。



1.子供のいじめに親が介入するべきか?

まずそもそも論として、子供のいじめに対してあなたは親として介入するべきか、そうでないかについてです。
これは2つのケースに分けることができますが、基準は子供の意思を尊重することです。

1つ目は、子供が介入してほしいと思っているケースです。
つまり、あなたにSOSを発信している状態です。いじめの存在を打ち明けるという直接的なSOSから、打ち明ける勇気はないけど小さなシグナルを発しているという間接的なSOSまで様々ですが、この場合、あなたは介入してもよい、言い換えれば、介入しなければならない、と言えます。
いじめ解決のために、当事者や学校、教育委員会などへの証拠提示や協議が必要です。

2つ目は、子供が介入してほしいと思っていないケースです。
つまり、目立ったアクションを好ましいと思っていない、または、恐れている状態です。理由は様々ですが、学校の先生にすらいじめの存在を知られなくないと考えている子供も少なくありません。この場合、あなたはズカズカと介入するべきではないと言えます。
ゴールは同じいじめ解決であっても、あからさまに介入するべきではなく、慎重なアクションが必要です。

これら2つのケースについて、次項からもう少し詳しく考えていきましょう。

2.親に介入してほしいと思っているケース

2-1.直接的なSOSを発信している

直接的なSOSは、いじめを解決したいという意思の現れです。
子供自身にいじめ解決の意思があるのですから、あなたは介入しなければなりません。

ここで注意していただきたいことは、いくら子供が「いじめの解決」を望んでいようと、子供抜きのアクションは絶対に行なってはいけないということです。
解決を焦るあまり、子供に何も言わず、子供を蚊帳の外に追い出して、先生や当事者の親との協議を始めてしまう親御様もいますが、これは子供の意思を無視したアクションです。
あなたは当事者ではありません、当事者はお子様です。あなた自身に置き換えてみてください。自分の処遇が、自分の知らないところで、自分の意思を尊重されずに決定されたらどう思いますか?

また、いじめの相関図(登場人物)や段階はとても複雑です。
全容を把握していないあなたの勝手なアクションは、(不謹慎な例かもしれませんが)ゲームの世界において、必要な武器、必要な仲間、必要な知識もないまま最後のボスに挑むような、セオリーを無視した冒険になるでしょう。
当然、返り討ちにあい、結果、いじめがエスカレートするだけです。

ですから、先生への相談や、いじめている子供の親との接触は、お子様と十分に話し、意思を疎通そつうしたたうえで行うようにしましょう。お子様もあなたも納得した上でのいじめ解決を行わなくては、根本的な解決に至ることができません。子供と一心同体でいじめ解決を行うことで、いじめの相関や段階を踏まえた適切ないじめ解決の手段を見つけることができます。

2-2.間接的なSOSを発している、または、何も言わない

間接的なSOSや無発信は、お子様の意思が曖昧です。
意思が曖昧である以上、ズカズカと介入するわけにはいきません。

お子様は本当にいじめ解決を望んでいるのでしょうか?

この質問は究極的なものであり、ともすれば、賛否両論でしょう。もちろん、誰もがいじめがなくなればよいと考えています。皆が幸せに暮らせるのはいじめのない世界、環境です。
しかし、アクションを起こせば必ずいじめが解決するとも言い切れないのが実情です。先生がいじめっ子を指導した結果、いじめがエスカレートする可能性も否定できません。
それを肌で感じているからこそ、いじめ解決(のアクション)を望んでいない子供も数多くいます。

ですから、本当にいじめ解決のアクションを望んでいるのか?を、注意深く観察してみてください。
直接的なSOSを発信してくれるケースの方が少ないからこそ、お子様との普段の会話、表情、しぐさなどから、その心理状況を紐解いていく必要があるのです。
避けてフタをするのではなく、夕食中など、日頃から学校の様子を「聴く」ことを心掛けてください。

いじめを解決してほしい、介入してほしいのであれば、あなたの顔を見て話したり、学校の話題について積極的に話したり、もっと話したいことがあるというような表情をします。
一方で介入を望んでいないのであれば、黙り込み、話題を変えようとします。この場合には、まだ介入の段階ではない可能性が高いです。

では、介入してほしくないと思っているお子様にはどのような対応が必要なのでしょうか。

3.親に介入してほしくないと思っているケース

3-1.そっとしておいてほしい

これまでの内容とは異なり、いじめ解決のアクションを起こしたくないという意思が現れている状態です。

いじめがなくなってほしいという願いは、お子様、親御様、共通です。しかし、私のいじめられていた中学生時代も同様でしたが、いじめを解決してほしいという想いと、いじめを解決して欲しくないという想いが交錯しているのです。
一見すると、いじめ「解決」といじめ「継続」と矛盾しているようですが、実は矛盾していないのです。

いじめが無事に解決すればよいのですが、中途半端に着手した結果、いじめがエスカレートしてしまう場合があります。なぜなら、いじめている子にすれば、先生や自分の親にいじめの事実を知られることは避けたいわけです。そのような中で先生や親が中途半端な対応をすれば、告げ口をしたとしていじめがエスカレートしてしまうのは必然です。

そして、前述のとおり、これを肌で感じている子供もいますし、見て知っている、身をもって経験している子供もいます。
ですから、「もうこれ以上いじめられたくない」「いじめがエスカレートするなら今のままでよい」と、介入を望まない(避ける)、半ば諦めにも似た感情を持ってしまうお子様もいます。

3-2.介入を望まない子供への対応

介入が望まれていないとしても、あなたはじっとしていられないでしょう。アクションを我慢すれば気がおかしくなりそうになるでしょう。

ですが、アクションは介入だけではありません。他にもできることがあります。

まずは、お子様の心のケアに注力してください。いじめられている子供の精神状態は想像を絶します。私自身、中学時代に比べたら、なんと前向きで穏やかな毎日を過ごしているかど感じます。
例えるなら、様々な太さ、様々な長さの紐に絡まり、どこかを引っ張ればどこかが締まり、じっとしているしかできない状態です。

ケアといっても、難しいことばかりではありません。最も簡単で、最も優先しなければならないことは、ストレスの発散です。
一般的に、いじめられている子供たちはそのストレスを吐き出すことができずにいます。ですから、いじめられている時の嫌な気持ちを忘れられるようなはけ口を作ってあげましょう。

はけ口は、会話(対話)かもしれませんし、レジャーかもしれませんし、打ち込めるような習い事かもしれません。
但し、会話の相手は、身近な人(親など)ではなく、第三者(カウンセラーなど)の方がよい場合もあります。身近な人に対しては恥ずかしさや心苦しさが先行してしまい、余計に辛くなってしまうケースもあるからです。
学校に駐在している学校カウンセラーや臨床心理士、いじめ専門のカウンセラーなどもひとつの選択肢に挙がるでしょう。

私の経験としては、学校カウンセラーはとても優秀な方が多いのは事実ですが、カウンセリング室が校内にあるという構造上の問題や、担任の先生に申告しなければならないなどのシステム上の不便さもあり、フル活用できる環境は整っていないとも言えます。ですから、学校と関係のない外部のカウンセラーに相談した方が、お子様への負担が少ない場合もあります。いじめ解決のためのカウンセリングにストレスがかかっては本末転倒ですからね(当サイトでもいじめ専門のカンセラーを無料でご紹介しております)。

3-3.最終的にいじめ解決に繋がるのか

カウンセリングなどが、いじめの解決や介入の快諾に繋がるのか?という疑問もあるかと思います。

そもそも、スタートが「そっとしておいてほしい」ですし、カウンセリングにも段階がありますから、いじめ解決に積極的になるためには時間がかかるでしょう。
しかし、状況は変わらなくとも環境が変わります。それまでとは異なり、ストレスを吐き出し、苦悩を聞いてくれる理解者がいるということは子供に大きな安堵感をもたらし、支えになってくれます。

いじめが悪化し、万が一ですが、命を絶ってしまいたいような状況に陥ったとしても、駆け込み寺のようなはけ口があれば、最悪の事態を回避することもできるかもしれません。
そうでなくとも、周囲が異変に気づき、ただちに介入する助けにもなるでしょう。
いわゆる「セーフティネット」を作ってあげることも、心のケアのひとつです。

4.まとめ

親がいじめに出しゃばりすぎかもしれない?、
それを判断する主な基準は、あなた(親)ではなく、お子様の意思や立場にあります。

また、いじめ解決のためのアクションや正解は、介入だけではありません。
お子様がなにを望んでいるのか、なにを望んでいないのか、決して独りよがりにならず、「子供の視点」から考えてあげてください。