子供が学校でいじめられていて、様々な手立ては打ったが一向に解決の兆しを見せてくれない、という場合に、いじめ解決の最後の一手があります。それが「転校」です。転校と聞くと、公立中学校の場合、引越しをしなくてはいけないのではないか?と考えてしまうかもしれません。
しかしあまり知られていませんが、引越しをしなくても転校は可能なのです。

今回はいじめがなかなか解決しないあなたのために、最終手段である転校について詳しくお話ししていきます。

1.学区外への転校の2つの方法

1-1.学区外に引っ越しをして転校する

まずは一般的に知られている転校の方法が「家の住所を学区外にする」ということです。基本的に公立の中学校は、子供の住民票の住所を基に学区内の学校への入学を許可しています。

もし転校したいのであれば、住民票の住所を学区外の住所に変更すれば良いのです。どうやって住民票の住所を変更するかというと、学区外に賃貸住宅を借ります。そして子供の住民票の住所をその住宅にすれば、合法的に住民票の住所を変更することができます。

そして家族で引っ越して、そこから新しい学校に通うようにします。一般的ないじめっ子は転校まではしないので、普段顔をあわせることもなくなります。ですので多くのお子さんは、新しい学校に馴染んで楽しい学校生活を送ることができています。

1-2.学校と交渉をして転校する

2つ目は冒頭にもお話しした、あまり知られていない転校の方法です。今回は、こちらの方法を詳しく掘り下げて解説していきます。

簡単にいうと、教育委員会が公開している公式な文章の中の転校理由に従って、転校の手続きを取るという方法です。

この転校方法はあまり知られていないので、手順などわからない点が多々あります。それらを詳しく当記事でお話ししていきます。

2.いじめによる転校の特例を使う

現在のあなたの居住地から、学区外の学校へ転校する場合にはいくつかの理由がなければ転校できません。「いくつかの理由」というものは平成9年に文部科学省が出している「通学区域制度の弾力的運用について」という文章に明確に表されています。その中でも特に注目していただきたい通達文がこちらです。

「就学すべき学校の指定の変更や区域外就学については、市町村教育委員会において、地理的な理由や身体的な理由、いじめの対応を理由とする場合の外、児童生徒等の具体的な事情に即して相当と認めるときは、保護者の申し立てにより、これを認めることができること」

要するに、いじめを理由に転校することができると書いてあるのです。これは当然ですが、学校側から転校を勧められるのではなく、あくまで保護者であるあなたが学校側に申し立てなければ転校することはできません。

ここからはどのような流れで転校することができるのかをお話ししていきます。

2-1.校長にいじめが原因での転校について相談

「転校をすること」自体はとても良い解決策だと私自身、感じています。しかし転校には多大な労力が必要となります。転校を考える前に、学校側に様々な対策を打診しましたか?

学校側、特に校長にいじめが存在していること、そしてそれを解決したいとの旨を伝えましょう。しかし、伝えてもすべて解決するとは限りません。解決しない場合に、「いじめがなかなか解決しないようなので、転校を考えている」ということを伝えます。

2-2.教育委員会にもいじめが原因での転校の旨を連絡

校長に転校をしたいことを伝えると、通常であれば校長は教育委員会に連絡します。しかしいじめが原因で転校するというケースはなかなかないので、校長自体も対応のやり方がわからない場合もあります。それが原因で教育委員会への連絡が遅くなることもあります。

ですから、教育委員会にも転校をしたい旨を伝えます。そうすることでスムーズな転校の手続きができるようになります。この際の伝え方はどのような方法でも良いですが、メールなどで

「〇〇中学校の××の母親です。この度いじめがなかなか解決しません。ですので◇◇中学校に転校を考えています。どのような手順で申し立てを行えばよろしいですか?」

といった文面で問い合わせをします。このメールだけで教育委員会にも「転校する人がいる」ということが伝わります。現時点で、校長と教育委員会の双方が「転校する人がいる」という認識を持つことができています。

2-3.校長がいじめによる転校理由の文書を提出

校長は「生徒が転校すること」について「意見書」を教育委員会に提出しなければなりません。どのような事実があり、どのような理由で転校をするのか。その理由は転校にふさわしい最もたる理由なのか、ということを書いた意見書です。

もちろん教育委員会は学校内の事情を知る術はありませんから、その意見書を基に転校について考えていきます。教育委員会では校長から意見書を受託したのち、教育委員会内で会議をします。

ここでは基本的に転校を許可するかどうかという話し合いです。先ほどお話しした文部科学省が出した文章にはいじめを理由に転校できると書いてあるので、大抵の場合転校することが可能です。

2-4.転校の許可が下りる

許可が下りると、あなたのところへ転校可能という通知がきます。そして次の学期から転校をして別の学校へ通えるようになります。最初の時点でどの学校に転校したいかが決まっていない場合は、転校先の学校も決めなくてはなりません。

もちろん通い方は人さまざまです。車で通う人もいれば、電車やバス、自転車の生徒もいます。

3.いじめが原因での転校は良いことか?

そもそもいじめが原因での転校は正しいことなのかどうか?ということをご相談いただくことがありますので、最後に少しだけお話しさせていただければと思います。

3-1.いじめが原因での転校は良いこと

そもそもの話として、いじめから逃げて心理的安全を確保するために転校する事は良い事でしょう。毎日暴力を振るわれ、暴言を吐かれている環境では子供は病んでしまってもおかしくありません。まずは子供のためにその中で、まずはその環境から離れてみるという事は良い選択です。

ただしこれは応急処置としての対応はという条件付きです。非常に厳しいお言葉ですが、いじめられやすい子供は他の学校に転校したとしてもいじめを受けやすいのです。

3-2. 転校先でいじめを受けないためには

現在の学校でいじめを受けている理由は何でしょうか?いじめを受けやすい子供の共通点として、自己肯定感が低いことが要因で色々な言動や考え方がネガティブ思考になってしまい、結果としていじめられてしまうという現実があります。

このように考えると、いじめから逃げるために転校するだけでは不十分なのです。いじめから逃れる根本的解決としては、子供の自己肯定感を上げる必要があるのです。

せっかく転校して新しい環境でスタートできるのであれば、いじめを受けないようにするために、そもそも子供の言動や考え方を見直す必要があるのです。どのようにしていじめられない体質にするかということについては詳しくこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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