不登校の子どもが、中学校の先生に「このままじゃ卒業できないよ」と言われるケースがありますが、本当に卒業できないのでしょうか?
また高校進学するのに、どのくらいの出席日数が必要なのか?も気になりますよね。
ここでは、中学で出席日数が足りない場合はどうなるの?という質問や、高校進学はどうしたらいいのか?という質問についてお答えします。
このページの目次
1.中学校で出席日数が足りないと卒業できないの?
不登校の生徒に対して、中学校の先生が「このままじゃ卒業できないよ」「留年になるよ」というケースがあります。
中学校の出席日数が足りない場合、どのような扱いを受けるのでしょうか?
1-1.大丈夫!中学校は卒業はできます
まず、お伝えしたいのは出席日数関係なく、中学校は卒業できます。
先生が「留年するよ」「卒業できないよ」と言っているのは、あなたに学校に来てもらうために、色んな伝え方をしているにすぎません。
あなたにとっては、とても不安になる発言ですし、半ば脅しのような誘導はモラル的に疑う部分ではありますが、とりあえず先生がいう「卒業できない」は真に受けなくて大丈夫です。
1-2.学校の規則ではどうなっているの?
学校の規則を確認する方法もあります。
「〇〇市 小中学校管理規則」と検索してみましょう。
ここでは「川越市立小・中学校管理規則」を事例に紹介します。
校長は、児童生徒の平素の成績を評価して、その学年の課程の修了又は卒業を認めることができないと判断したときは、当該児童生徒を原学年に留め置くことができる。
校長が前項の処置を行つたときは、その状況を速やかに教育委員会に報告しなければならない。
小・中学校管理規約を見ると、「校長の裁量で留年の可能性があるってこと!?」と思ってしまいますが、実際に留年になったケースは聞きません。
それは、日本には「年齢主義」という考え方があり、義務教育の期間は学力や出席日数に差があっても、同じ年齢の人たちと同じ学年になるというのが一般的だからです。
ちょっと違った見方をすると、海外では成績が優秀な子どもが飛び級するケースがありますが、日本ではどんなに優秀な子でも飛び級することはありません。
これも、「年齢主義」の考えに基づくもので、それにより「飛び級」も「留年」もないと考えたほうが自然といえます。
1-3.30〜60日以下の人は審議の対象ってどういうこと?
自治体によっては、「出席日数が30〜60日以下の人は審議の対象」としているところもありますが、年齢主義の考えが根底にあるので、中学校は卒業できます。
ただ、注意したいのが「公立高校」の受験要項に「30〜60日以下は審議の対象」と書かれている場合です。
その場合は、中学校は卒業できますが、その公立高校を受験する際には、受験資格が得られるかは審議の対象となり、受験させてもらえない可能性はあります。
中学校で不登校だけど、公立高校受験を目指したい方は、不登校でも出席扱いになる方法を以下で説明しているので、そちらを参考にしてください。
1-4.過去に義務教育で留年したケースはあるの?
過去に義務教育期間の生徒が留年したケースはあるのか?という点で、参考になる事例があります。
「神戸市立小学校強制進級事件」というものがありました。
この事件は、当時小学5年生の女子児童がいじめが理由で長期欠席になり、出席日数不足を理由に、本人と父親が「留年にしてほしい」と希望したところ、当時の校長が拒否し強制的に進級させたことで裁判となった事件です。
裁判の判決では、原告(訴えた側)の要望は通りませんでした。
判決の理由のひとつに、
1年遅れると次年度の児童の間に溶け込むのに大変な努力が必要になるし、社会的な違和感に耐える必要という著しい不利益を被ることを考慮すべきである。
というものがありました。
小学生の事例ではありますが、「1年遅れることで、社会的な不利益を被る可能性」を考慮しての判決であり、やはり「年齢主義」の考えが根底にあることが伺えます。
このような事例からも、中学校で出席日数が足りなくても、留年は起こらないと考えて大丈夫でしょう。
2.中学校で出席日数が足りないと高校受験は不利?
さきほど、中学校で出席日数が足りなくても卒業できると説明しましたが、とはいえ、出席日数は気にしなくても大丈夫!と言っているわけではありません。
公立高校の受験を考えている場合は、出席日数が重要になってくるからです。
また、公立高校に限らず、高校受験をする場合は一定の学力が必要なことから、休んでいる期間の学習のフォロー方法を考える必要があります。
3.公立高校でも「不登校枠受験」というものがあります
高校によっては「不登校枠」というものがあるので、不登校枠受験をしている学校を調べてみるのもいいでしょう。
不登校枠受験の詳細は、こちらの記事で解説しています。
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