不登校から通信制高校に入学した後、その後の進路について気になりますよね。

大学や専門学校にいけるの?

なりたい職業に就けるの?

通信制高校卒業生の40%弱が進路未決定という調査データもあり、非常に不安の大きい部分かと思います。

しかし通信制高校を卒業したからといって、将来不利になることはありません。

その理由について解説していきます。

1.通信制高校卒業生のその後、40%弱が未決定ってどうなの?

文部省の平成29年度の調査によると、通信制高校を卒業した53,550人のうち、

「大学等進学者」9,885 人,

「専修学校(専門課程)進学者」11,343 人,

「専修学校(一般課程)等入学者」704 人,

「公共職業能力開発施設等入学者」490 人,

「就職者」(大学 等進学者,専修学校(専門課程)進学者,専修学校(一般課程)等入学者及び公共職業能力開発施設等 入学者に含まれる者を除く。)10,501 人,

「左記以外の者」19,871 人,

「不詳・死亡の者」756 人

というデータがあります。平成29年度 文部科学省データ

このデータだけをみると40%近くの人が、通信制高校を卒業した時点で進路が決まっていないことになります。

1-1.「40%近くが進路未決定」をどう読み解くか?

このデータをみて「通信制高校に通うと進学や就職ができない」と、判断してしまっていいのでしょうか?

また、普通科の高校と比較して、どっちがいいのかと判断していいのでしょうか?

私は、どちらの判断も適切ではないと考えています。

まず、通信制高校には、いろんな人が通っています。

健康面の理由から自分のペースで通いたい人や、社会人をしながら通っている人、いろんな家庭の事情を抱えている人など、いろんな人が、いろんな理由や考えをもって通っています。

そのため、データ上の数字をみて「通信制高校に入ったらその後の進学に困る」「普通科に比べて進学しにくい」と決めてしまうのは、違うのでは?と考えています。

通信制高校に通おうが、普通科高校に通おうが「あなた自身がどう行動するか。」で、その後の人生が変わっていきます。

2.通信制高校のその後は普通科高校よりも暗い?

結論からいいますと、通信制高校を卒業したからといって、普通科高校のその後の人生と比べて暗いなんてことはありません。

2-1.一般社会により近いのは通信制高校

通信制高校は入るのは比較的簡単ですが、卒業するには必要な単位を取る必要があり、高校生として必要な学習をしたと認めてもらう必要があります。

また通信制高校は、レポート提出や単位取得を自己管理しながら、こなしていく必要があります。

普通科の高校だと、先生が手厚くフォローしてくれる部分を、通信制高校だからこそ自分で解決しなければいけない場面もあります。

そのような点でいうと、より一般社会にちかく、自己管理能力を身に付けやすい環境といえます。

2-2.通信制高校を卒業したということは努力したという証

通信制高校を卒業したということは、高校で必要な学習を習得し、自己管理で単位を取得したという証明です。

だから、通信制高校を卒業した時は、自信をもって社会に出てくださいね。

もちろん、普通科の高校に通っていると、大学受験の際に「推薦入学」などがあり、大学受験で有利になる場面もあります。

でも、普通科のなかでも、推薦を受けれる子どもは一部の子どもであり、一般入試で大学受験をする子どもがほとんどです。

一般入試は自分の学力次第なので、有利不利など考えずに、その時はとにかく受験対策に集中したらいいのです。

3.通信制高校という学歴はその後の人生に影響する?

時々、通信制高校卒業ということで、社会にでたときに不利になる場面があったり、偏見をうけるんじゃないかを気にされる方がいますが、社会に出てしまうと出身高校の話なんてほとんどでません。

3-1.大人になると出身高校の話はほとんど出ない

とくに県外にでると、地元の有名高校でさえ無名であり、職場の人同士で「どこ高出身?」という会話自体が出てきません。

また、「定時制に通っていた」「通信制で卒業した」という方と出会うこともありますが、それを聞いたことで相手への印象が変わったり、関係性が変わったりしたこともありません。

ある経営者であり投資家の方が書いた本に「銀行は会社の決算書を見せろと言ってくることがあっても、学生時代の成績を見せろと言ってくることはない」という趣旨の話が書かれていますが、まさにそうで「〇〇高校卒業」を聞かれることもなければ、それによって有利不利になる場面もないのが一般社会です。

「学歴」は、学生時代のごくごく限られた一面的な評価でしかないのです。

3-3.でも「高校卒業」はしておいた方がいい

だからといって「学歴が不要」といっているわけではありません。

将来、あなたの夢が見つかり「進学したい」「資格をとりたい」と思った時に、高校卒業資格が必要になってくる場合があります。

そのため、「高校卒業資格」だけはとっておくことはおすすめします。

ただ「通信制高校だから不利」「偏見にあう」というのはないので安心してください。

4.大人が言う「理想の未来」は、気にしなくていい

近所の人や、先生、もしかするとあなたの親も含めて、大人が思う理想の未来について語ってくる人がいるかもしれません。

「こうした方がいいよ」「後悔するよ」と指導してきたり、「大人になって私がこう思っているんだから間違いない」と、自分の意見を押し付けてくる人もいるかもしれません。

でも、そういう人の話は真に受けないでほしいのです。

なぜ、このような話をするのかというと、大人が押し付ける「成功」によって、不幸になる子どもが増えているからです。

4-1.誰のための勉強?何のための勉強?

私の中学生時代の同級生の男の子も、社会人になってから自ら命を絶ちました。

学生時代、とても優秀な子で高校は有名な進学校に入学しました。

第三者からみたら「エリート街道まっしぐら」です。

ただ、中学の時に「100点とらなかったら、親に殴られるから」と冗談っぽく言っていたことを覚えています。

彼が自殺した本当の理由はわかりませんが、彼は何のために勉強してきたのだろうか?誰のために勉強してきたのだろうか?を考えると、とても胸が苦しくなります。

そして、まわりの大人が押し付ける「成功」という価値観によって、苦しんでいる子どもが増えているのです。

もし、あなたもその中の一人であるなら、自分の人生を歩むための進学をしてほしいです。

5.好きなことを見つければ通信制高校卒業後の心配はいらない!

自分の人生を歩む上で大事なのは、どんな高校に通っていたかではありません。

あなた自身が、何に興味をもち、そこからどんな仕事をするのかです。

そこに学歴は関係ありません。

5-1.ゲーム好きからプログラマーへ

世の中には、ゲームが好きすぎて、独学でプログラミングを勉強して、自分でゲームアプリを作っている人もいます。

今はインターネットを使うことで、自分のゲームアプリを販売することができます。

そこに学歴は関係ありません。

5-2.専業主婦から和菓子教室の先生へ

また、専業主婦の方で、和菓子作りに魅了され、そこから独学で勉強していろんな資格を取得した結果、今は和菓子教室を開いているという方もいます。

実は「専業主婦」というのは、社会で働く上で非常に不利になりやすいんです。

一般企業の面接でいうと「通信制高校卒業」よりも厳しく、「社会を知らない」と門前払いされることも少なくありません。

それでも、自分が興味を持ったものに打ち込んでいたら、それが仕事になっていました。

そこに学歴は関係ありません。

5-3.アルバイトがきっかけで高級ホテルの料理長に

他にも、居酒屋でアルバイトしたことがきっかけで料理に目覚め、そのまま単身でフランスに渡り、本場フランスのレストランで修行した後、日本のグランメゾン(高級ホテル)で料理長をされている方がいます。

それも学歴は関係ありません。

実は、夢を叶えるのに「学歴」はあまり関係ないのです。

あなた自身に「これが好きだ!」「これをやりたい!」と思うものがあれば、いつからでも、何にでもなれるのです。

6.通信制高校のその後の進路をより良いものにするために色々経験しよう

「まだ、将来の夢なんて分からない」という方もいることでしょう。

それなら、いろんな経験をしてみるといいです。

6-1.高校生はいろんな経験ができる時期

通信制高校は、普通科の学校よりも自分の時間が作りやすいです。

空いた時間にゲームをする、お菓子屋さん巡りをする、こういう経験も、夢に出会うきっかけのひとつ。

よく「ゲームなんてしてないで、勉強しなさい!」という大人がいますが、人は遊んでいる時間に夢に出会うものです。

そして、その夢が目標となり、その人の原動力になります。

だから、沢山遊んでください。

6-2.夢を叶えるための勉強を、自分の人生を歩むための進学を

今しかできないことに挑戦して、沢山のものに触れてください。

学歴のために勉強するのではなく、夢を叶えるために勉強するんです。

そして、自分の人生を歩むための通過点としての進学であってください。

その思いがあれば、通信制高校への進学は、あなたにとってとても有意義なものになりますよ。


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