子どもが不登校になったのは、母親である自分に問題あったと思っていませんか?

「育て方に問題があったんじゃないか?」

「もっと心の強い子に育てるべきだった」

「シングルマザーだからかもしれない」

過去を振り返りながら、ご自身を責めている方もいることでしょう。

この記事では、不登校の原因が母親にある場合、どのようなことが原因となっているのかと、その場合の対応方法について解説しています。

もし、当てはまったとしても大丈夫。

これから、子どもとしっかり関わることで、子どもの心を開いていきましょう。

1.不登校の原因は母親にあるのか?

子どものトラブルが起きた時、必ず「原因は母親か?」という議論が出ますし、母親自身も自分を責めてしまう傾向がありますが、「不登校の原因=母親」と決めつけて良いのでしょうか?

1-1.不登校の原因=親ではない

結論からいいますと「不登校の原因=母親」ではありません。

しかし「母親がまったく関係ないのか?」と言われると、ケースバイケースになります。

不登校は、色々な要因が重なって起きている場合も多く、

  • 学校で嫌なことがあり、そのことを親に相談したが、その時の親の対応にも傷ついて不登校になった。
  • いじめにあっていたが、親に相談できる雰囲気ではなく一人で抱えてしまった。

という場合もあります。

決して「母親が悪い」というわけではないのですが、色々な要因が重なり、結果的に不登校になったというケースが多いといえます。

子どもが不登校になりやすい親の対応と、不登校になった後の親子関係の作り方については以下で解説します。

1-2.シングルマザー(ファザー)が不登校の理由になる?

シングルマザーの方は、特に「片親だから」と自分を責めてしまう傾向があるのですが、不登校の直接的な原因が「シングルマザー」にあるわけではありません。

子どもの不登校の原因に、シングルマザーかどうかは直接は関係ないので、家族構成は切り離して考えるようにしましょう。

2.母親が不登校の原因になりやすい8つのケース

不登校の原因になりやすい母親の対応について8つ紹介します。

「これをしたから不登校になった」という直接的な要因ではなく、色々な状況が重なった時に1つの要因となってしまった可能性があるという受け止め方をしていただけたらと思います。

また、「自分に当てはまっていた」と思っても、ご自身を責める必要はありません。

今後、どのように対応していくことで、子どもが心を開いてくれるのかもお伝えするので、合わせて参考にしてくださいね。

2-1.子どもに否定的だった

子どもに「あなたはダメな子」「できない子」など、否定的な言葉をいうと、子どもの自尊心は傷つき、他のでショックを受けた時に「どうせ自分はダメだから」と心が折れてしまいやすいです。

子どもが社会で生きていく力を育てるためには、子どもの自尊心を育ててあげることが非常に重要で、家庭内で「あなたはできる子!」「素晴らしい子!」と言われて育った子ほど、困難にぶつかった時も「私なら大丈夫!」と自信をもって立ち向かうことができます。

そのため、日頃から否定的な発言をしてしまっていた場合は、子どもに失った自信をつけさせてあげることが大切になります。

また、日本には「謙遜」の文化もあり、我が子を否定してしまう親御さんも少なくありません。

近所の人に

「(近所の)〇〇ちゃんは本当に優秀ですね!うちの子は全然ダメなんです」

「うちの子は、本当に馬鹿だから」

といった発言をしている場面を見かけることがありますが、そういった発言も子どもの自尊心を傷つけてしまいます。

近所の人に謙遜するのではなく、むしろ「うちの子は良い子なんです!」と自信をもって言うようにしましょう。

2-2.自分の価値観を子どもに押し付けていた

親の価値観を子どもに押し付けて育てようとしたものの、その価値観が子どもに合わなかった場合、途中で糸が切れたように無気力になってしまう場合があります。

親の価値観というのは「進学校に行かないとダメ」「スポーツ選手にさせたい」「〇〇ちゃんとは仲良くしたらダメ」など、幅広いものを指します。

親としては、子どものためを思って「私はこれでうまくいったからやってほしい」「私は大人になってこうしておけばよかったと思ってるから、子どもにはやってほしい」「私がなれなかった職業に、子どもにはなってほしい」という思いで言っていることがほとんどです。

親としては我が子を思っての対応なのですが、その対応が返って子どもを苦しめてしまうのです。

子どもは、親が思っている以上に、親を喜ばせようとがんばります。

「良い学校に行きなさい」と言われると、自分は違う学校に進学したかったとしても、親の期待に応えようとします。

しかし、「精一杯がんばったけど、親の期待に応えられない」「もう心が限界!」となった時に、心の糸が切れように無気力になってしまう場合があるのです。

それが不登校という場合もあれば、夜遊びなどの非行に走る場合もあります。

東洋経済の「「親がやらせたいこと」に潰される子どもたち」でも、親がやらせたいことを押し付けるのではなく、子どもが自発的にやりたいことをさせることの重要性が書かれています。

2-3.教育熱心すぎる

親が教育熱心すぎても、子どもの心が折れてしまう場合があります。

教育熱心な親御さんは、「我が子のために」と思っているので、自分のやっていることを正当なことだと思っている傾向があるのですが、教育熱心すぎると子どもの精神衛生上、非常にリスクが高いのです。

ニュースで見かける残忍な家庭内殺人や、無差別殺人事件の犯人が、優秀な学生や名家の子どもだったというケースを見たことがあると思います。

尾木直樹さんの著書「よい子が人を殺す」という本では、「奈良母子殺人事件」や「佐世保事件」「秋葉原無差別殺人事件」などの犯人が、どういう家庭環境で育ってきたのか、その子たちがどういう精神状況になり、なぜ事件を犯してしまったのかが書かれています。

殺人を犯してしまった子どもたちの共通点は、教育熱心な家庭、名家というものがありました。

著書のなかで、親の教育方針や期待に応えられないことで、自分の人生を悲観し、子どものなかで「今の現状を壊すしか無い。」という思考になり、その手段として家庭内殺人や無差別殺人になっていると考察されています。

何が言いたいかというと、教育熱心すぎる家庭は子どもを精神的に追い詰め、子どもの心が崩壊した時に「現状を壊すしか無い」という発想から、時に引きこもりや、自殺、そして事件を起こすきっかけにもなりうるということです。

ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、子どもにとっては「現状から逃げるための手段の一つ」として、不登校になる場合もあると考えられます。

2-4.世間体を気にしていた

親が世間体を気にしすぎてしまい、それを子どもに求めることでも、子どもの心が疲弊し結果的に不登校になる場合があります。

上記でもでてきた「謙遜」や「教育方針の押し付け」にも共通してきますが、親の「周りからよく見られない」という見栄で、子どもに優等生でいることを求めると、結果的に子どもにとってマイナスになってしまうので注意しましょう。

2-5.子どもに無関心だった

子どもに無関心だった場合も、子どもの自尊心が下がり、無気力などにつながりやすいです。

子どもは親の対応をみて「自分は愛されている大切な存在」と思うこともあれば、「自分はどうでもいい存在」と思ってしまう場合もあります。

親としては、一生懸命子育てしているつもりでも、子どもからみて「無関心」と思ってしまう対応をしていると、自尊心は育たず「自分はどうでもいい」と考えてしまうことがあります。

そうなると、無気力になったり、嫌なことがあった時も乗り越える精神が保てなかったりして、結果的に不登校になってしまう場合があります。

2-6.家庭内の人間関係が悪かった

シングルかどうかよりも、家庭内の人間関係の方が子どもの心には大きな影響を与えます。

夫婦間が不仲で喧嘩ばかりだったり、嫁姑問題でお母さんがいじめられていたり、そういう場面をみると、子どもは大きく傷つき、自尊心の低下などに繋がっていきます。

子どもは、親のために自分を責めて考えてしまう傾向もあるので「私がいるから離婚できないんだ」と受け止める場合もあります。

そうなると、子どもの心の中は、学校どころではなくなってしまうので、家庭が子どもにとって安心できる環境にしてあげる必要があります。

子どもにって安心できる環境が作れないのなら、離婚や別居も一つの選択肢として考える必要があります。

2-7.親が恋愛に走ってしまった

シングルマザーに彼氏ができたり、再婚すること自体は問題ないのですが、子どもの前で「女」を出すことは避けた方がいいです。

とくに思春期の子どもは、自分の親が色恋で楽しんでいる姿に対して嫌悪感をもつこともあります。

また「私は邪魔な存在なのかも」と思ってしまう場合もあります。

筆者の知り合いの女の子も、母親(シングル)に彼氏ができたタイミングで不登校ぎみになりました。

母親と彼氏が互いの自宅を行き来をするようになった頃から、毎朝時間どおりに自宅を出るものの、学校とは逆の方向に歩いていくのを近所の人が見かけるようになりました。

近所の人から「朝、まっすぐ学校に行ってないけど大丈夫?」と言われ、その時に娘の不登校に気づいたそうです。

恋愛や再婚自体は自由なのですが、子どもが疎外感をもったり、孤立したりしない配慮は重要になります。

2-8.誤った「褒めて育てる」をしていた

「褒めて育てましょう」という子育て論がありますが、行き過ぎると返って子どもを追い詰めてしまうので、やりすぎには注意が必要です。

褒めて育てること自体は素晴らしいことなのですが、過剰に「あなたならできる」「これができる子はすごい」「ママはこれができる子が好き」と伝え、押し付けのような褒め方になってしまうケースがあります。

そうなると、子どもは「ママに嫌われないようにがんばろう」と必死に期待に応えようとします。

その期待に応えられている時は良いのですが、子どものなかで失敗したり、期待に応えられないとなったりした時に、心が折れてしまうので、「子どもに言うことを聞かせるために褒める」というのは危険です。

「失敗してもいい」「好きなことをしたらいい」という前提のもと、子どもが自発的に上手くできた時に、褒めてあげると自尊心が育っていきます。

3.不登校の原因が母親だった場合の親子関係の作り方

もし、「自分の関わり方が良くなかったなぁ」と心当たりがあった場合や、子どもとの関係が上手くいっていないように感じている場合は、これから説明する内容を心掛けていただければと思います。

3-1.子どもの話をしっかり聞く

親の意見を伝えるのではなく、子どもの話を聞くように心がけましょう。

「大人としてこう思う」「お母さんの人生経験から、こうした方が間違いないと思う」など、色々と言いたいことはあると思いますが、親が自分の意見を先に言ってしまうと、子どもは自分の意見が言えなくなりますし、「どうせ言っても無駄」と思われてしまうと、それ以降は子どもは本音で語ってくれることはありません。

そうなると、不登校の本当の原因も、子どもが何を求めているのかも知ることができなくなるので、まずは子どもの話をじっくりと聞くようにしましょう。

3-2.子どもにとって安心できる空間をつくる

家が子どもにとって安心できる空間にしましょう。

夫婦で喧嘩が耐えない場合は、別居することも一つの選択肢として検討しましょう。

また親が、子どもに根掘り葉掘り聞いたり、「勉強しなさい」などと口出しすると、子どもは精神的に落ち着いて過ごすことができません。

子どもの心がゆっくり休養できないと、結果的に不登校は長引くので、子どもが「ゆっくりと過ごせる空間」を意識して作っていきましょう。

3-3.子どもを責めない

子どもは、親が思っている以上に自分を責めてしまうので、絶対に責めるような発言は避けましょう。

いじめがあった場合に「あなたにも問題があったんじゃないの?」と聞く、不登校になった後に「ご近所に知られたら恥ずかしい」と言うなどの発言も、子どもが自分を責める原因になり、自尊心の低下や親への不信感に繋がるので注意しましょう。

大事なのは、親子の信頼関係をしっかり作ること。

そのためには、子どもに責任があるような表現は避けなければいけません。

3-4.子どもの自己肯定感を高める関わりをする

不登校は、子どもの心がいっぱいいっぱいになってしまった時に起こりやすいです。

そのため、ゆっくりと心の充電をさせてあげることが大切です。

その時に、「私は大事にされている」「守られている」と安心できると、心が満たされて「もう一回挑戦してみようかな」と思うようになります。

しかし、心の充電はすぐに効果がでるものではなく、「何日したら改善する」というものでもありません。

子どもの性格によっても差があります。

そのため、マニュアル思考にならず、また「これだけしてるのに、まだ学校に行けないの?」といった声かけをするのも避けましょう。

時間がかかるかもしれませんが、親子でゆっくりと過ごす時間を大事にし、子どもの心が元気になるのを待ってあげましょう。

4.母親だけでは不登校の解決ができない場合は相談窓口へ

母親だけでは不登校への対応が難しいと感じた時は、相談窓口へ相談しましょう。

担任の先生や校長先生に相談したり、協力依頼をしたりすることも大切ですし、行政の不登校やいじめの相談窓口に問い合わせることもできます。

行政が運営している相談窓口はこちらから探すことができます。

いじめが深刻化している場合や、自分たちで解決できない対人関係で悩んでいる場合は、弁護士に相談するのも一つの方法です。

弁護士に警告状を書いてもらうことで、相手が子どもに関わらないようにすることもできます。

子どもが精神的に不安定で、不眠になったり、ボーッとしていることが多い、逆に暴力的になっている時は、心療内科や精神科を受診することをおすすめします。

悩みの内容ごとに専門の相談窓口があるので、自分たちでは解決できないと思ったら、早い段階で相談窓口を利用しましょう。


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