不登校になってしまった中学生の子どもが、高校受験をすることができるのか不安に思っていませんか?

子どもの将来を考えると高校は卒業させたいが、次のような悩みを抱える方は多くいらっしゃいます。

  • 何が必要なのかわからない
  • また不登校になってしまわないか不安

そんな方のため、この記事は不登校になってしまった子どもの高校受験について確認するポイントや高校の選び方を紹介します。

不登校から高校受験をする時のポイント

不登校の子どもが高校受験をする際に確認が必要なのは、出願時の調査書です。

調査書の項目のうち、出席日数と内申点が不登校であることに影響されます。

出席日数

出席(欠席)日数によって入試で不利になる可能性があります。出席日数を審議の対象とするかは学校によって違いますが、私立より公立の方が不利になる場合が多い傾向にあります。中には募集要綱に「出席日数を審議の対象とする」と明記されている場合もあるため、そのような高校の受験は不利になる可能性が高いです。

ちなみに、どの学年から出席日数を調査書に記載するかは、地域によって異なります。中学校3年分の欠席日数を記載するところもあれば、中学3年時のみの場合もあるため、子どもが不登校になってしまった時期によって高校入試に影響するかが決まります。

欠席が多い場合でも、その理由を自己申告書で提出することによって入試の評価の際に考慮してもらえる場合があります。自己申告書を提出することで入試で不利になることは無いため、心配であれば提出しておくことがおすすめです。自己申告書は子どもが通っている中学校や、市の教育委員会に問い合わせをすることで入手することができます。

内申点

内申点とは、学校が定めるルールで子どもの総合的な成績を点数化したものです。不登校によって定期テストを受けていない場合、学校の成績と共に内申点が下がりやすくなります。

高校受験は内申点と当日受験の点数を総合的に判断して合否が決定するため、内申点に配点の比率が偏っている高校だと受験は不利になる可能性が高いです。

傾向としては、公立高校は内申点を重視し、私立高校はあまり内申点を重視しないと言われています。そのため、子どもに公立高校を受験させる場合は、配点の比率を事前に確認しておく必要があります。反面、私立高校は内申点をあまり重要視していないため、当日の筆記試験で合格できる学力があればあまり影響を受けないと言えるでしょう。

また、推薦入試の場合は中学校での成績が出願条件となっている場合が多いです。不登校によって学校の成績が下がっている場合、出願条件を満たせる可能性は低いです。推薦入試も条件は様々なため、詳細な条件は学校と相談するのがおすすめです。

不登校でも受験・入学できる高校の種類

不登校の子どもの高校受験は、上記の出席日数や内申点により不利となることが多いです。

その一方で、不登校になってしまった子どもでも入学しやすい高校もあります。全部で3種類ありますが、それぞれ特徴を解説します。

定時制高校

17時~21時までの夜間の時間を使って通学する高校です。各学年1クラスで少人数である傾向があります。また、1日4時間の授業で4年間通学する「学年制」と、卒業に必要な単位を取得していく「単位制」の2種類があります。

「学年制」では、1日4時間の授業を基本としているため、卒業までには4年かかるのが一般的です。学校によっては、1日5時間の授業で3年で卒業できるところもあります。

「単位制」では必要な単位を取得すれば卒業できるため、早ければ3年で卒業する事も可能です。定時制高校は夜間とはいえ毎日学校に通うため、部活動や卒業式などのイベントでクラスメイトと交流し、コミュニケーション能力を鍛える効果が期待できます。

通信制高校

自宅からレポートを提出することで単位を取得し、卒業を目指す高校です。子どもが学校に通う頻度は月数回と、基本的に少なく設定されています。単位制のため自分のペースで学習を進めることができ、短ければ3年で卒業することが可能です。

通学がないため学校行事が少ない特徴がありますが、部活動を行っている学校も多いです。部活動は通学するときのみ行うため、月数回の頻度になります。通信制高校に慣れてきたら後述する全日制高校に転入することも可能なため、新たな高校生活の第一歩とするには最適かもしれません。

全日制高校

朝から夕方まで授業を行う、一般的な高校です。全日制高校の中には、不登校になってしまった子どもへの配慮がある高校もあります。

具体的な例としては、カウンセリングによる心のケアや少人数授業による他人と関わる事への配慮などです。先述の出席日数や内申点などを審議の対象とするかは学校によって違いますが、審議の対象とならない学校もあります。

不登校の子どもが高校受験をする際、一番希望として多いのがこの全日制高校です。その理由として、普通の高校に通うことで中学校での不登校という失敗を取り戻したいと思っているからです。とはいえ不登校の子どもがいきなり全日制高校に通うのは大変なため、子どもの状況を良く観察した上で全日制高校に進学するかを決める必要があります。

不登校の原因によって高校を選ぼう

不登校の子どもの高校は、また不登校となってしまわないように無理なく通える高校を選ぶ必要があります。

そのためには、子どもが不登校になってしまった原因を分析することが必要です。代表的な原因と、原因ごとにおすすめな高校を紹介します。

いじめなどの人間関係

いじめなど人間関係が原因の場合は、子どものストレスとなっている人がいない学校にするのが大前提です。他人と接することに抵抗が少ない場合は、隣の県など距離が離れた全日制高校を選ぶことをおすすめします。今までの人間関係を断ち切ることで、通学へのモチベーション向上が期待できます。

他人と接することに抵抗がある場合は、人と接する機会が少ない定時制高校や通信制高校がおすすめです。少人数の定時制高校かほぼ在宅の通信制高校のどちらにするかは、子どもと良く話し合いを行い、無理なく通える方を選択しましょう。

病気がちで通学が難しい

病気がちで通学が難しいことが原因の場合は、留年や退学がない定時制高校や通信制高校を選ぶのがおすすめです。

全日制高校は保健室で授業が受けられるなどの配慮がある場合はありますが、出席日数が足りなくなると留年や退学の可能性があります。

定時制高校でも体調に応じて学習できる単位制の高校を選ぶなど、子どもの健康状態に応じた高校を選択することが重要です。

勉強についていけない

勉強についていけないことが原因の場合は、中学の授業内容から復習してくれるような体制がある高校を選びましょう。

勉強についていけないことがストレスになっている場合は、単位制を採用している定時制高校や通信制高校を選び、自分のペースで学習を促すのもおすすめです。

また、勉強についていけない子どもの学習に力を入れている全日制高校もあり、入学試験は面接と作文のみといった方法を採用しています。

不登校でも高校受験をするための勉強方法

子どもを進学させたい高校が決まった後は、受験対策を考えましょう。

筆記試験がある場合は学校に通っていない分の遅れを取り戻す必要がありますが、参考書や教材を手に1人で学習を進めていくのは非常に難しいです。

そこで、不登校の子どもでもできるおすすめの勉強方法を3つ紹介します。

通信教育

外に出たり、人と接したりすることが苦手な子どもにおすすめなのが通信教育です。

教師と1対1でテレビ会議をしながら授業を受けるものや、教材を使用して自宅で学習が行える物などがあります。

また、不登校となってしまった子ども向けに、通常の学習に加えてカウンセリングを実施するサービスもあります。

不登校に対応した塾

不登校の子どもの学習に力を入れている塾は多く、大手の塾ほど手厚いサポートを受けることができます。

不登校となってしまった子どもの状況に合わせ、学習計画の提案を行ってくれます。学習面はもちろん、生活面についてもサポートを行っており、最寄りの個別教室への通学をサポートするサービスになっています。

こういったサポートを行っている塾は不登校の子どもに関する多くのノウハウを持っているため、安心して子どもを任せることができます。

家庭教師

家庭教師を利用すれば、子どもは安心できる自宅にいながら勉強に取り組むことができます。

マンツーマンの授業となるため、子どもの学習状況に応じた勉強をできるメリットがあります。

通信教育や塾だと子どもの様子が分かりませんが、家庭教師であれば自宅で全て完結するため、親としても安心感があります。家庭教師と信頼関係を築くことができれば、子どもの精神面も安定させる効果が期待できます。

高校に行かない選択肢も考える

ここまで不登校になってしまった子どもの高校受験についてお伝えしてきましたが、高校に行かないという選択肢も考えてあげてください。

そもそも、なぜ高校に行く必要があるのかを考え直してみるのも良いと思います。高校は中学校と違って義務教育では無いため、必ずしも行く必要はありません。

その時間を使って働くための資格や技術を身につけるのも一つの選択肢です。子どもが将来どんな仕事をしたいか、今何に興味があるのかをよくヒアリングし、高校受験をするかどうかを判断しましょう。

不登校でも高校受験はあきらめなくていい

子どもが不登校になってしまったとしても、高校受験をあきらめるのは少し待ってください。

出席状況や内申点の状況によっては全日制高校に進学することも可能ですし、定時制や通信制の高校など幅広い選択肢が用意されています。

親であるあなたが不安に思っているのと同じくらい、不登校の子どもも不安を抱えています。まずは十分に話し合いを行い、子どもにとってベストな選択は何かを考えてみてください。


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