子供がいじめを受けていて、いじめの加害者と話をして解決を図りたいと思っていることでしょう。
話し合いをしていじめを解決することができる場合もあれば、余計いじめがエスカレートしたり、子供が不登校になってしまったりするケースもあります。
この記事では、建設的な話し合いを行い、いじめを解決するための事前準備と当日の話し合いの方法についてお伝えしています。
このページの目次
1.そもそもなぜいじめ加害者と話し合いをするのか?
現在、あなたは一刻も早くいじめ加害者と話し合いを行いたいと考えていることでしょう。お気持ちは十分わかります。
ただその前に1つだけ考えていただきたいことがあります。
「なぜ話し合いを行うのか?」
当然のことながら、「いじめ解決を行うため」でしょう。しかしながら、一度いじめ加害者と対面すると、いじめの加害者を一方的に問い詰めたり、学校の責任だと言うことで、学校側に文句を言ってしまったりすることがあります。
しかしあくまで、いじめを解決することが話し合いの目的です。この目的に忠実に従うことで、あなたのお子様のいじめ解決を行うことができるようになるのです。
2.いじめ解決の話し合いは誰と行うべきか?
いじめ解決のための話し合いは当然のことながら、いじめの加害者と被害者であるあなたの二人だと考えていることでしょう。
しかしながら、いじめ現場の本人である子供入れるべきか?いじめが行われている学校は関与するべきかどうか?など色々な疑問が湧いてきます。
ここでは、それぞれの良い点、懸念点をお伝えしていきます。
2-1.子供はいじめ解決の話し合いに入れるべきか?
子供を話し合いの場に参加させるべきかどうかについては、賛否両論あると考えています。
子供を話し合いの場に参加させることで、事実確認を行うことができます。どの子供でも、親にいじめについて話したいとは思いません。しかし、いじめ加害者と被害者の双方の立場からどのようなことが起きたのかについて詳細に話してもらうことで、本来のいじめ現場を把握することにつながります。
一方で、私自身いじめを受けていた立場からすると、そのような話し合いの場には参加したくないという思いもあります。いじめを受けている被害者は大抵の場合、自らの意見をきちんと口に出すことを苦手としています。
そのため、違っていることさえも違うと言うことができず、結局いじめの真相が本来の姿と異なってしまう可能性があるのです。
さらには、いじめ加害者の子供がいじめる理由として、
- 「お前の足が遅いから、運動会で負けたんだ」
- 「テストで良い点とって自慢ばっかりしてくるから、腹が立った」
などと言われることが多々あります。
すると、いじめの被害者にも非があるように思えてきて、本来は8割加害者が悪いにも関わらず、お互いに五分五分だよねと言う形で決着がついてしまう可能性もあります。さらには、本来であれば言われなかったようなことまでこの場で言われてしまうため、今後、不登校になる可能性が高くなります。
このように良いことも悪いこともありますので、私がいじめ解決に携わる際にもケースバイケースの判断を行なっています。ですから、お子様の性格やいじめの状況などを踏まえた上で、判断するのが良いと思います。
2-2.学校をいじめの話し合いの場に入れるべきか?
私は基本的に学校に事前に相談することはお勧めしています。学校で起きたいじめについて、学校がどのような状況なのかを把握できていない状況はあまり良いとは言えないためです。
しかしながら、話し合いの場に学校の先生などを入れることは避けた方が良いと考えています。なぜならば、学校の対応などに焦点が行ってしまったり、学校側がいじめを認めずに、加害者側と口裏を合わせてしまう可能性があるためです。
以前、こちらの記事でもお伝えしましたが、学校は基本的にいじめを認めたがらない体質です。それは教師の評価基準に、いじめが起こると言うことは教師の教育の質が低いということが明文化されているためです。そのため、学校側は基本的にいじめを認めないのです。
このような背景から、私が学校側には話し合いに関与していただきたくないと考えているのです。しかし、冒頭にもお伝えした通り、状況だけは学校にも把握しておいていただく必要があるため、状況と結果のみお伝えするようにしています。
3.いじめ解決の話し合いの事前準備とは?
いじめ加害者との話し合いのためには、事前にしっかりとした準備が必要です。何も準備をしないまま話し合いに望んでも、結局何もできずに終わってしまうことになるからです。
ここではどのような事前準備が必要なのかについてお伝えします。
3-1.いじめの概要についてまとめる
大抵の場合、いじめ被害者と加害者で考えていることは異なります。どのようないじめを受けているのか?といういじめの内容をきちんと明文化して、説明できるようにしましょう。
よくあるケースとして、
「私も息子は、毎日嫌がらせを受けています」
と話す方がいらっしゃいます。
しかしこれでは全く具体的ではないため、加害者側に
「それはただの遊びであって、いじめではないです。冗談さえもいじめと捉えられては困ります」
などと返答されて困り果ててしまうのです。
ですから、
いつ、どこで、どのような内容のことをされたのか?
ということをきちんと明確にしておく必要があります。
「2月3日の1時間目と2時間目の休み時間の間に、〇〇君からうちの息子に、きもいからどっか行けと言われて足で蹴ってきた」
というくらいに具体的かつ可能な限り詳細にいじめの概要を把握し、説明できるように紙などの印刷しておきましょう。
3-2.何をしたいのか?を明確にする
いじめ加害者との話し合いの本来の目的は「いじめを解決する」ことです。どのようないじめがあったのかという認識を合わせることも大切ですが、あくまで過去の話です。
過去の話はほどほどに、今後どのようにしていじめの解決を図っていくのかということを考える必要があります。
話し合い当日に、「さぁ、どうやって今後進めていきましょうか?」では話にならないわけです。
あなたとして、いじめ加害者にどうなってほしいのか?どのような行動をやめてほしいかの?ということを具体的に考えておく必要があります。
また、いじめっ子本人にやめてもらうために、加害者の親にどのような対応を子供に対して取ってほしいのか?ということまできちんと考えておくようにしましょう。全ての親がそうとは言いませんが、いじめの加害者となる子供の家庭環境は悪いことが多く、きちんと子供を教育したことのない親御さんも多いからです。だからこそ、あなたがどのように子供を教育するべきなのかを伝える必要があるのです。
4.いじめ解決の話し合い当日に行うべきこと
ここまできちんと準備をしてきましたので、残るは本番であるいじめ加害者との話し合いです。ここでは、相手ときちんと対等な立場で建設的な話し合いを行い、ゴールであるいじめ解決のための方法をお互いに理解し、実践できるようにすることが大切です。
そのために、どのような気持ちで話し合いに臨み、どのようなことに気をつければ良いのかについてお伝えします。
4-1.いじめ加害者を攻撃しない
いじめについて話をしていると、ついイライラしたりカッとしたりすることがあることでしょう。それは当然のことです。スムーズにいじめ加害者がこちらの要望を飲んだり、いじめの事実を認めたりすることは稀だからです。
しかし、どれだけ感情が高ぶっても落ち着いてください。常に冷静に考え続けるように意識してください。
一度だけでも手を出したり、声を荒げたりしては、せっかくの話し合いの場にも関わらず、何も解決せずに終わってしまうことになります。
まずはお互いの認識をすり合わせることを意識して、相手の言い分もきちんと冷静に受け止めるようにしましょう。
4-2.非がある場合は素直に認める
先ほど、被害者であるあなたが伝えるいじめの事実を加害者側が認めないことがよくあるということをお伝えしました。同じことは被害者であるあなたにも置き換えることができます。
全てが全て、あなたの考えていることが正しいわけではありません。中には、加害者側の意見や言い分が正しい場合もあるでしょう。その場合は、素直に認めてください。認めることで、相手もあなたの意見を認めるようになります。
また、認めたからといって全ての責任がいじめの被害者にあるわけではありません。いじめ被害者と加害者のお互いの認識をすり合わせるためのものだと考えるようにしましょう。
4-3.相手の発言についてメモをする
いじめの話し合いで、非常に建設的な形で進めることができる場合もありますが、色々と文句や言い訳などをしてくる場合もあることでしょう。
その場合は、きちんと相手の言い訳についてメモを取るようにしてください。感情が高ぶっている状態で行う言い訳は矛盾になりやすいからです。
矛盾する話が出た場合は、きちんと矛盾していることを伝えると、相手は口答えできなくなります。そして、腹をくくってきちんとした話し合いをしようと意識をこちらに向けてくれるようになります。
必ずしも全てが全てこのようにスムーズにいくとは限りませんが、きちんと向き合おうとしない場合の対処法の一つとして、このような方法もあるということを知っておいていただければと思います。
4-4.いじめについてフェアに話し合う
あなたはいじめの被害者だと感じているでしょう。それは紛れもない真実です。だからと言って、言いたいことを全て一方的に押し付けて、相手をねじ伏せるという行為は避けるようにしてください。
いじめの加害者にも必ず言い分があるからです。一方的に話すのは話し合いではなく、押し付けです。きちんと話し合いをしたいのであれば、あなたが話した時間分、相手にも話す時間を与えてください。
これにより、お互いの意見をきちんと伝えることができるようになります。そして、お互いの考えのどこが共通点で、どこが食い違っているのかということを冷静に判断することができるようになります。
5.いじめの話し合いでまとまらなくても大丈夫
いじめ解決をゴールとした話し合いですが、すぐに次の解決のための対処法が見つかるわけではありません。あなたの意見を伝えても、「それはできません」と押し返されてしまうこともあるでしょう。
しかし、血眼になって相手をあなたの思い通りにさせようとしても仕方がありません。話し合いで決着がつかなくても良いのです。
いじめ解決方法の1つにいじめ加害者と話し合いを行うということはありますが、それが全てではありません。最低限、いじめ加害者がどのようなことを考えているのかということを知ることができただけでも良い収穫です。
次はそれを元に、別の方法でのいじめ解決を考えれば良いのです。このように、いじめ解決策を試しては別の道へということを繰り返していくことで、最終的にいじめは解決するようになります。
いじめ解決には時間がかかりますが、諦めないことが一番大切なことなのです。お子様のいじめが解決することを心から願っています。