あなたの子供が学校でいじめを受けていて、学校に対応してもらおうと担任の先生に相談するも、「いじめなんてありませんよ」と言われてしまった。そんなあなたに、いじめを実際に受けて、担任の先生にも無視されてしまった経験のある私が、どのようにしていじめを解決してきたのかについてお話しします。
学校にいじめ解決に動いてもらうためには今回お伝えする3つのステップを踏んでいくことで、達成することができます。
この記事のポイント
- 学校がいじめ対応をしない理由
- 今までいじめ対応をしなかった学校に対応させる方法
- 担任の先生にいじめ解決をしてもらう方法
このページの目次
1.学校がいじめに対応しない理由
学校がいじめに対応しない理由として挙げる内容は実に様々です。しかしながら、本質そのものはほとんど変わらないのです。
学校の校長先生と担任の先生それぞれが表には出せない実情があります。
1-1.担任の先生がいじめに対応しない理由
担任の先生がいじめに対応しない理由としては、「いじめ対応の方法を知らない」ことが挙げられます。いじめがあるのは分かりつつも、どうすれば解決するのか、どのように対応すれば良いのかが全く分からず、周りの先生にもいじめ解決の経験がある人がいないという実情があります。
いじめ解決のための対応方法を知らなければ、いじめを認めたところで何もできないということを分かっているため、そもそもいじめを認めないという立場を取ってしまうのです。
先生も人間ですから、いじめの解決策を知っているのであれば解決したいという想いはあるのです。
1-2.学校の校長先生がいじめを認めない理由
一方で学校の校長先生は担任の先生とは全く異なる理由を抱えています。実は学校の校長先生がいじめを認めてしまうと、自分の学校にいじめがあると認定されてしまう為、指導力不足として昇進の道が途絶えてしまうのです。
本来校長先生になると、次は教育委員会に昇進するというルートが見えており、穏便に過ごしていれば教育委員会に勤めることができるようになります。
しかしながら、いじめを学校で起こしてしまったとなると、無能な校長であると認定されてしまいます。あなたが校長先生の立場であると考えてみてください。あと1~2年ほどいじめがないと言い続ければ、そのまま何事もなく教育委員会に行けるのです。そのような考えから、いじめを認めずにやり過ごそうとしてしまうのです。
このように、担任の先生はいじめの解決方法を知らないがゆえに、いじめを認めず、学校の校長先生は自分自身のキャリアの保身のためにいじめに対応しないのです。
2.学校とともにいじめ解決に対応するには?
ここまではなぜ学校が対応しないのかについてお話ししてきました。ここからは実際にどのようにすれば、学校が対応するのかについてお話ししています。
学校にいじめの対応をしてもらい、最終的に解決まで導くためには事前準備を徹底的に行い、色々な事実情報を持った上で、学校と交渉する必要があります。
情報収拾から学校との交渉まで次のように3ステップありますので、それぞれのやり方をお伝えします。
2.いじめの証拠収集
3.学校との交渉
3.いじめの事実関係を学校のために把握する
そもそも学校に相談する時は最初から校長先生に相談するわけではありません。最初は担任の先生や部活の顧問の先生でしょう。
しかし、冒頭にもお伝えした通り、先生は解決の術を知りませんし、どのようないじめが行われているかも分かりません。誰が関わっているかも分からない状況なので、まずはいじめの全体像を把握する必要があります。
全体像を考える上で、ポイントとなるのは次の3つです。
- いじめの主犯格
- いじめの発端
- いじめの内容
3-1.いじめの主犯格は?
実は担任の先生はいじめの主犯格が誰か分からないということが往往にして起こります。例えば私の場合は、部活の中でいじめられていたのですが、放課後の給食場(誰もいない)の水道で水をかけられたり、足をかけられて倒されたりしていました。しかし、このようなことは先生には見えないので、誰がそのようなことをしているのか知る術がありません。
ですから、どのような人がいじめに関わっていて、誰が中心人物なのかを把握しておく必要があります。
どのようにしていじめの内容を把握するかというと、あなたのお子様からのヒアリングが最も良い手段でしょう。実際にいじめを受けているお子様から、実際に誰からどのようないじめを受けているかについて聞いてみてください。
この時に気をつけていただきたいことは、お子様のペースで話を進めることです。決してあなたから、尋問のように質問をしすぎないことです。お子様も話したいことがあれば、話したくないこともあります。無理をしてまで、話したくないことを深掘りする必要はありません。
話したい時に話してもらえる関係性を保つことの方が重要です。
3-2.いじめの発端は何か?
いじめられるには必ず理由があります。何かが発端でいじめられるようになります。その発端、いじめの根源を見つけることで、今後スムーズにいじめを解決することが可能になります。
例えば私の例だと、中学校の卓球部の同期の中で私と主犯格のY君が部内でも最弱でした。本当は二人とも上手くなりたいと思っているのですが、スポーツですからなかなかうまくいきません。それに八つ当たりしたY君が腹いせに私に暴力を振るってきはじめたのです。
このようにいじめを受けているお子様は、なぜ自分自身がいじめられているのかは知っていることがほとんどです。ただ、その原因が自分のコンプレックスとなっていることや、自身の恥ずかしい体験など、必ずしも他の人に伝えたい内容とは限らないため、自ら口を開くということは少ないというのも実情です。
ですから、この原因を聞くためには時間がかかるとは思いますが、話すことができることから少しずつ聞いて、いじめを話しても何も言われないという信頼関係を築いていくことが重要です。
3-3.いじめの内容について
いじめの内容は本当に誰も分かりません。唯一分かっているのは、いじめに関わっている人だけという事実をまずは理解してください。
殴ったり蹴ったりするという点でいうと、誰が見ても分かることです。しかし、通学バックに入れていた家の鍵や自転車の鍵を盗られる、自転車のタイヤの空気を抜く、罵声を浴びせるなどといったことは見えないいじめなのです。
私自身、帰宅中に自転車で横から蹴られて田んぼに落とされたり、卓球のピンボールを投げられて当てられたりしましたが、先生も見ていませんし、その現場にいるのはいじめの加害者達ばかりです。
ですから、誰も外に情報を漏らさないため、外部の人からするとどのようないじめが行われているのか分からないのです。
まずは、どのようないじめが行われているのかについて常日頃行われたことをお子様から聞くようにして、それを記録しておくことが大切です。
3-4.いじめの事実関係をまとめる
最後に、ここまで集めてきた情報をまとめて、担任の先生に一目でどのような内容なのかを見てもらう必要があります。
そこで役に立つのが相関図です。下の図のように、実際のいじめの現状を図解することで、非常に見やすくなり、時間のない先生にも一目で理解してもらえるようになります。
出展:デジタルネイティブの「いじめ」問題
4.いじめの証拠を集める
ここまでで、どのようないじめが行われているかについてはあなたも客観的に理解できたと思います。そして、次は実際にそのようなことってあるの?ということを担任の先生に伝える必要があります。
そのためには証拠が必要になります。2つ目のステップでは、どのように証拠を取っていくかについてお伝えします。
4-1.いじめの現場を録音をする
最も効果的な方法として、動画や写真を撮影するという方法があります。しかしながら、学校内だとカメラを設置することが難しいため、動画という選択肢はなくなってしまいます。
実際にいじめ解決のために、私も全国各地の探偵に動画撮影をお願いしたことがありましたが、どの探偵も学校内は入れないと言って断られています。
動画が撮れないとなると、次に有効な方法として録音があります。今ではマイクロ録音レコーダーやペン型レコーダーなどがたくさん販売されています。それらをお子様に持たせて、いじめられそうな雰囲気になった際に録音を開始してもらいます。(大抵いじめられそうだなというのはすぐに感覚で分かります)
その際に、ただたんに殴られる音を撮るのではなく、「〇〇君、やめてよ!」などと言った実際に誰がそこにいるのかが分かるように人物名を出して録音しておく必要があります。これによって、加害者が「当時僕はそこに関わっていませんでした」という言い逃れができないようにします。
4-2.いじめ内容の日記をつける
先ほどお伝えした録音は非常に有効ではありますが、必ずしも全てのお子様ができるとは限りません。そこで、日々のいじめられた内容について文章として記録しておくという方法を採用します。
日記を書く際には3W1H(いつ、どこで、誰が、どのように)が必要です。参考までに以下のような書き方だと書きやすいということをお伝えします。
2020年12月1日
今日、部活が始まる直前に、着替えようとしたら給食場にY君とH君に連れて行かれて、水道のホースで水をかけられた
非常に簡単な内容ではありますが、このような短文でも構いませんので、常にどのようないじめを受けたかを記録し続けることが重要です。これにより、どのようないじめがどれほどの頻度で行われているのかが分かるようになります。
4-3.ネットいじめの場合はスクリーンショット
ここ最近、小学生でもスマートフォンを持ち出す時代ですので、LINEやインスタグラムなどで容易に悪口を書かれてしまいます。グループラインでの会話やインスタグラムのコメントに誹謗中傷的なコメントがされていた場合、まずはスクリーンショットを撮っておきましょう。
このようなアプリでのコメントやメッセージはすぐに削除できてしまうため、いじめが表立って問題になった際には、すぐに削除されてしまいます。そのため、削除される前に証拠を収めておく必要があります。
4-4.証拠の使い方
証拠の使い方として、これらを全てまとめることができれば理想ですが、情報量が多すぎて、なかなかまとめることはできません。そのため、現段階できれいにまとめる必要はないという認識で問題ありません。
ではなぜこのように証拠を集めたのかというと、1つ目のステップで分かりやすく図解したいじめが本当にあるの?証拠出してよと言われた時に、「どうぞ」とスムーズに見せることができるようにするためです。
既に学校側がいじめを認めないということを分かっている段階で、証拠集めは必須だと考えていただいた方が良いでしょう。
5.いじめ対応&解決の要望書の提出
ここでようやく最終ステップです。ここまでで、いじめの実態と証拠を集めてきました。最後に、いじめ問題があるということを学校側に伝え、そしてその解決に向けて行動してほしいという旨を伝える必要があります。
今までは、担任の先生に電話や口頭でいじめへの対応をお願いしていたと思います。しかし、それではなかんかいじめを認めてもらえなかったことでしょう。そこで今回は、きちんと相談したという証拠を残すために文書で対応します。それが「要望書」というものです。
5-1.要望書とは何か?
そもそも要望書とは、学校側に対して正式な文面でお願いをするためのものになります。電話や口頭ではただの立ち話ですが、文書となると証拠として残るため、対応せざるを得ない状況を作り出すことができます。
参考までに、いじめ対応への要望書をこちらに載せています。
5-2.要望書でのポイントとは
要望書は正式な文書ですが、記載する内容に工夫を凝らす必要があります。というのも、要望書でただ単に「いじめを認めて解決してください」だけでは、前と同じ状況になってしまいます。
もう一度、担任の先生がいじめを認めない理由を思い出してみてください。認めない理由の本質は「いじめ解決方法がわからないから」でした。それであれば、こちらから具体的に、いじめ解決のためのステップを提示すれば良いのです。
決して学校側だけに解決を任せてはいけません。あなた自身が主体的にいじめ解決に乗り出して、学校と二人三脚でいじめ解決を目指す必要があるのです。ですから、要望書の中には具体的な解決への行動を期日付きで記載する必要があります。
私の場合はまず、いじめ解決について同じ方向を担任の先生にも向いてもらう必要があるため、あなたと担任の先生でいじめの現状について認識をすり合わせる打ち合わせの日程を決めることを最優先にします。
この場合、打ち合わせの候補日を3つとそれに対する回答期限を設けます。さらに、最終目標として、どのようなところを目指しているのかもきちんと明記しておきます。これにより、「いじめについて聞く」という第一段階を突破でき、その話し合いの中で今まで集めてきた証拠とともに現状を説明すると「いじめがない」とは言えません。また、「先生と共にいじめを解決していきたい」というスタンスで話していくことで、いじめを認めるという壁も乗り越えることができます。
6.まとめ
最後に、学校の先生はあなたの敵ではなく、味方だと常に認識しておいてください。学校側との唯一の窓口で、いじめの現場に最も近く解決にも協力的な存在だからです。校長先生よりも先に、担任の先生と協力していじめ解決を行うことを念頭に置いてください。
この現場での解決に行きつくためには下のことをしていくべきでしたね。ぜひ学校とともにいじめ解決に乗り出してください。
まとめ
- いじめの現状を相関図に表す
- いじめの証拠を集める
- 要望書を出して、担任の先生の協力を仰ぐ