連日、いじめで自殺したなど心いたたまれないニュースが報道されています。その中には、学校や加害生徒の家族を相手取って訴訟するなどの事例も散見されます。このような報道は「いじめを受けたら弁護士に相談すれば良いんだ!」とあなたにひとつの誤解を与えます。

しかし本当に「弁護士に相談する」という選択肢は正しいのでしょうか?

今回は、いじめを弁護士に相談することが有効か否かについてお話ししていきます。

結論から言ってしまえば、弁護士に相談すべきかどうかはあなたの状況によります。なぜなら弁護士にもできることとできないことがあるからです。>
これを理解せずに弁護士に相談しても、期待する効果は得られないでしょう。



 1.いじめは法律を元に解決できるか?

1.いじめは法律を元に解決(判断)できる

2012年に放映された「行列のできる法律相談所」でいじめ問題が取り上げられました。いじめがあるにもかかわらず、「いじめはない」などと隠蔽しようとしていたケースについてです。

これについて、出演弁護士らが法的見地から解説(判断)するというものです。

ケース1.学校でのいじめ

  • いじめ問題を抱える親子が弁護士の元に相談に来た場合、どんな対応をする?
  • 弁護士1:転校・自宅学習を勧める
    弁護士2:学校に事情聴取
    弁護士3:相手の親と協議
    弁護士4:警察へ被害届

弁護士の回答詳細はこちら(行列のできる法律相談所 公式サイト)

学校に「うちの子供がいじめられているので、どうにかなりませんか?」と相談したところ、「まずは様子を見てみましょう」と言われました。

しかし、その後も事態は好転せず、いじめはエスカレートするばかりだったため再度相談すると、「いじめを把握していない」「いじめという認識はない」などと的外れな回答があり、まともに取り合ってもらえませんでした。

このようなケースでは、どうするべきか?裁判をすることが可能か?どのような法律が適用されるか?といった議論が繰り広げられました。

結論、警察や学校との協議がもう少し必要ではないか(それでも収拾がつかなければ裁判も視野に入れるべき)という結果になりました。

ケース2.塾でのいじめ

  • いじめを見て見ぬふりした学習塾から慰謝料とれるのか?!
  • 弁護士1:慰謝料取れる
    弁護士2:慰謝料取れる

弁護士の回答詳細はこちら(行列のできる法律相談所 公式サイト)

受験を控えた息子が塾に通いだし、順調に成績が上がってきた矢先、息子から「塾に行きたくない、勉強もしたくない」という告白を受けました。よくよく聞いてみると、塾でいじめられているとのこと。塾の先生は注意はするものの形ばかりでまったく効果がないのです。

そこで母親は塾に詰め寄り、「子どもを預かる場所の以上、子供を守ることは当然だ」と主張しました。

このようなケースでは、塾に慰謝料を請求することができるか?という議論が繰り広げられました。

結論、80%の確率で慰謝料を請求することができるという結果になりました。

2.いじめ問題について賠償請求できる

このように、いじめは法律を基に、有罪か無罪かを判断できるということです。学校や塾のいじめ対応について、損害賠償や慰謝料を請求することもできる可能性が高いということです。

学校や教育委員会を相手取れば、100万円以上の賠償金を支払わせることができる可能性もありますし、中には600万円を請求したケースもあります。

弁護士は法律に精通し、法律に基づく判例(裁判例)を熟知しています。また、語弊を恐れず表現すれば、訴訟(裁判)を商売としていますから、「いかにして利益(請求する額や支払わせる額)を最大化するか?」という戦略にも長けています。

ここまでの話を聞くと「弁護士に相談すれば、賠償金を請求できるかもしれない!」と思うかもしれません。しかしここには大きな落とし穴が隠されています。

3.証拠集めのステップが抜けている

弁護士に相談(依頼)すれば、訴訟し数百万円の賠償金を支払わせることができるかもしれません。しかし、そのために絶対に欠かせないものがあります。

それは「証拠」です。

「行列のできる法律相談所」で取り上げられたケースでは証拠について触れられていませんが、十分な証拠が揃っている前提のものと考えられます。
「疑わしきは罰せず」という法諺(ほうげん:法律に関する格言)をご存知でしょうか?これは証拠が揃っておらず、無罪の可能性があるならば、有罪にしないという裁判の基本理念です。ですから法律に基づいて裁判する場合には証拠が必要です。

また、そもそも、証拠がなければ弁護士も依頼を受けてくれません。

もしあなたが訴訟したいと考えているなら、弁護士に相談(依頼)したいと考えているなら、まずは証拠を集めなければならないのです。

2.弁護士は証拠を集める専門家ではない!

一般的にですが、弁護士への依頼料は安価ではありません。安価ではないことから「弁護士が証拠もを集めてくれるんでしょ?」と考えている方も多いです。しかし、そうではありません。弁護士への依頼に証拠収集は含まれませんし、弁護士は法律や訴訟の専門家であって、証拠収集の専門家ではありません。

つまり、基本的には、証拠は基本的にあなた自身が集めなければならないということです。もしくは探偵などの証拠収集の専門家に依頼することになります。

POINT弁護士=裁判・法律のプロ
探偵=証拠集めのプロ

3.いじめを解決するには?

1.あなたの最終目的は?

あなたはいじめについて弁護士への相談を検討しているかもしれませんが、弁護士に相談して裁判を起こしたいのですか?賠償金を請求したいのですか?

おそらく違うと思います。
あなたの目的は、あなたのお子様をいじめから守ることです。「いじめ解決」が最終目的であり、裁判や賠償金はそれを成し遂げるための過程でしかありません。

2.いじめ解決に証拠は必須!

あなたの最終目的が「いじめ解決」であるなら、それを成し遂げるためにはどうするべきかを考えてみましょう。
当サイト「いじめドクター」の記事をお読みいただいた方はわかると思いますが、いじめ解決のキーワードは「証拠集め」です。

裁判をすればいじめが解決すると考えている方もいます。間違いではありませんし、私も解決すると思っていますが、その背景には裁判までの過程に「証拠集め」があるからです。ですから「裁判」がキーワードとはならないのです。

3.証拠がいじめの存在を明確にする

そもそもいじめは子供間で行われるため、その存在の有無は大人にはわかりません。裁判でも、証拠が不確かであったり、十分でない場合、いじめの存在が明確ではないとして敗訴します。正に証拠が勝敗を分かつわけです。

十分な証拠もなく、「僕、いじめられているんだ」と伝えられただけでは、本当にいじめられているのか?と不審に思われても仕方ありません。なぜなら裏付け(証拠)がないからです。もしかすると、被害者側も悪いのではないか?などと疑われてしまうかもしれません。

しかし、理由もなく一方的にいじめられている様子などの証拠を押さえておけば、「被害者側も悪いのでは?」などというあらぬ疑いをかけられることもありません。
これは、裁判(裁判官など)においても同様です。だからこそ十分な証拠が必要なのです。

4.証拠があれば人は動く

いじめの存在が明らかになると、人は「動く」のです。いじめは悪という風潮はとても強いく(当然ですが)、正義を貫くため、昇格する(降格しない)ため、理由は様々ですが、「動く(動かないわけにはいかない)」のです。

教育委員会や学校は裁判沙汰を恐れます。裁判に限らず、証拠動画などの流出、拡散も恐れるでしょう。
教育委員会、学校などの評判が落ち、世間からつるし上げられるからです。校長や先生は昇格できなくなるかもしれませんし、解雇されるかもしれません。だから「動く(動かないわけにはいかない)」のです。

このように証拠があれば、多くの人を動かすことができます。解決しようと必死にさせることができます。だからこそ「証拠集め」こそがいじめ解決において最重要キーワードなのです。

4.まとめ

「裁判=いじめ解決」という認識は必ずしも間違いではありません。しかし実際には裁判までの過程に解決の糸口があります。

裁判に至るまでには「証拠集め」というステップがあります。このステップを踏んだ段階で、ほとんどの大人や関係機関は動くということを知っておいてください。

あなたがいじめの事実を白日の下に晒し、または、加害生徒(の家族)を苦しめたいという気持ちもわかります。しかし、それ以上に大切なことはいじめを止めることではないでしょうか?

「最終目的は何か?」それを明確にしたうえで、弁護士、警察、学校、探偵、、、、あなたの目的を達成できる選択をしてください。